一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
峠道を進み、両脇から木々が迫ってくるような細い通りを抜けていく。正午過ぎの太陽はますます燃え盛り、窓から容赦なく日差しを注いでくる。
しばらくすると、雅臣はロープが張られた草むらの手前に車を停めた。
「さて、どうなってるかな」
サングラスを外してドアを開ける彼にならい、私も外に出る。さきほどよりも緑の深いその場所には、木々が生い茂っているだけで倉庫と呼べるような人工物は見当たらない。
「寄り道って、ここ?」
「もう少し先だ。そこを抜けていく」
雅臣が足を向けたのは、わずかに人が通れる程度に土が露出している舗装されていない道だった。いや、道とも言えない、ただ踏み固められただけの獣道だ。