一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
私が勤務する物流センターでは総勢百五十人の従業員が働いているけれど、そのほとんどは非正規雇用の倉庫勤務だ。私の仕事はオフィスで出荷依頼をまとめたり、データ処理をする事務業務だった。
一年前にここに派遣されてきたときから仕事を教えてくれている沢渡さんは、三歳年上の二十八歳。数少ない正社員のひとりで、私のことをなにかと気にかけてくれている。
二階にある事務所から階段を下りながら、沢渡さんが目もとをほんの少し困ったように緩めて私を見た。
「毎日お見舞いに行くなんて、本当に偉いね」
私は曖昧に笑って階段に目を落とした。