一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
だけど物流センターには当然ながら二條の人間なんていないし、そもそも一介の派遣社員が創始者一族にお目にかかれるチャンスなんて結局一度もなかった。
「愛ちゃん、この伝票の出荷予定日なんだけどさ」
沢渡さんに差し出されたノートパソコンの画面を覗き込んでいると、視線を感じた。すぐ隣に立った黒縁メガネの彼がにこにこと私を見下ろしている。
「どうかしました?」
「いやあ、今日もかわいいなと思って」
「え」
「じゃなくて! あのさ、今度よかったら食事とか」
沢渡さんが言いかけた瞬間、廊下を駆ける足音が響いた。
「おいそこ、片づけろ!」
駆けこんできた清水マネージャーが、焦った様子でダンボールが置かれた通路を指さした。
「本社から常務が来るらしい!」
「えっ、ホントすか」