一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る

「本当だよ。応接室って、たしか荷物置いてなかったか」

「常務?」

 となりの部屋に飛び込んでいくマネージャーを見ながら目をぱちくりさせていると、沢渡さんがはっとしたように私を見下ろした。

「愛ちゃんは顔を見せない方がいい!」

「どうしてですか?」

「常務って女グセが悪いって有名なんだ。かわいい子にはすぐ手を出すって」

 そう言い残して沢渡さんは応接室から出てきたマネージャーから荷物を受け取って運び出した。

 ぽかんとしているあいだに廊下の方が騒がしくなり、沢渡さんが慌てた様子で駆け寄ってくる。

「愛ちゃん、ひとまずミーティングルームにでも隠れてて」

「え、え」

 応接室とは反対側にある部屋に私を押し込むと、彼はまたフロアに戻っていく。

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