一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る

 定時だし。帰っても、いいよね?

 とりあえず支度をしようと席に戻った瞬間、応接室のドアが開いてマネージャーが顔を覗かせた。

「あ、ちょうどいい」

 私を見つけると、申し訳ない、というふうに片手を顔の前に掲げる。

「瀬戸口さん、帰る前に悪いんだけど、お茶出し、お願いできないかな。今日は女子社員がみんな出払っちゃってるから」

「はあ」

「清水さん! お茶なら俺が!」

 後ろからあせったように出てきた沢渡さんを、マネージャーは面倒そうに睨む。

「おまえが行ってどうするんだよ。瀬戸口さん、頼むよ」

 困ったような視線を向けられて、「はい」と承諾した。

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