一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る

「わからないんです。どうしても」

 私がつぶやくと、二條家の御曹司は凛々しい眉を持ち上げた。

「なにがだ」

「なぜ、あなたがこんな提案をするのか」

 隣に佇むこの人は、住む世界が違いすぎる相手を伴侶にしようとしている。五日前に会ったばかりの、名前すら知らなかった小娘を。

「私には明確な目的があります。でもあなたには……なんのメリットもないですよね」

 ちらりと見ると、彼は切れ長の目を瞬いた。それからすぐにイジワルっぽく笑う。

「なかなか冷静じゃないか」

「え……?」

「追い詰められた状況なのに、裏がないか確かめようとしている。俺の申し出を呑むしかないとわかっていながら」

 勝ち誇ったように言われて唇を噛んだ。

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