一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る

 そうだ。私には選択肢なんてない。この人がなにを企んでいようと、私の答えは最初から決まっている。

 膝の上で握った手が震えた。改めて突きつけられた立場の違いにくやしさがこみ上げる。

「まあ、そんな顔をするな」

 ふっと吐息を漏らし、彼は組んでいた脚を解く。いきなり私の頭に手を伸ばし、ぐしゃぐしゃと撫でまわした。

「わ、ちょっ」

「いいだろう。おまえの覚悟に免じて、教えてやる」

「へ?」

 深い茶色の瞳が私をまっすぐ見下ろす。ただそこに座っているだけなのに、体から高貴なオーラが溢れているみたいだった。普通だったら近づくこともできない相手とこうやって並んで座っていることが不思議でならない。

 そんな二條家の御曹司が、小さな秘密を打ち明けるみたいに口にする。

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