一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
「名門一族の子息というのも窮屈なもので、俺はこれまでどこぞの令嬢だとか良家の子女だとか、さんざん見合いをさせられてきた。もっともその都度手ひどく断ってきたがな。相手の方が逃げ出すくらいの暴君を演じて」
演じたのではなく素なのでは?と言いそうになり、こらえていると目が合った。私の心なんてお見通しだというようにニヤリと笑って、彼は続ける。
「だが俺も今年で三十だ。二條家の男がこの歳になっても所帯をもってないんじゃ、さすがに体裁が悪い」
「さんざんお見合いを断ったって。付き合ってる人とか、結婚したい人がいたからではなくて?」
「そんな相手はいない」
「……ひとりには縛られたくなかったってことですか?」