一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る

「ほかには?」

「絵も好きですよ。あとニャンコワールドには一度行ってみたいと思ってました」

「なんだ。いろいろあるじゃないか」

 涼しげな目は『自由にやればいい』と告げている。私は目を逸らしてソファに深く沈みこんだ。

「いいです、べつに。平気です」

 ひとりで出かけたってつまらないし、それに……。

 日に日に衰えていく母の顔が脳裏をよぎった。

 お母さんが大変な状況なのに、私だけ遊びに行くなんて、できない。

「……あの絵は、いつ返してくれるんですか」

 そっと隣を見ると、彼の凛々しい眉がわずかに寄った。

「おまえはまだ、二條の人間になっていないだろう」

「そうです、けど」

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