一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る

***


 朝、目を開けると、白くて平らな天井がどこまでも続いているように見えて、一瞬自分がどこにいるのかわからなくなる。

 体を起こし、部屋の中央に設置された大きすぎるベッドの上で、まだ馴染めない室内をぼんやり眺めた。

 あくびをひとつこぼし、蹴とばしそうになりながらスリッパを履いて窓辺へ向かう。カーテンの隙間から差し込んだ光がフローリングに眩しい筋をつくっている。

 リビングと同じ白壁と木目で統一された部屋は、あまりにも広かった。私が住んでいた六畳一間のアパートの五倍くらいはありそうで、かえって落ち着かない。

 備え付けの洗面所で急いで顔を洗い、ワンピースに着替えて逃げるように部屋を後にする。階段を下りると、香ばしいコーヒーの匂いが鼻をかすめた。

「おはようございます。愛さん」
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