一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る

 キッチンに立つ楓さんの微笑みで、ようやく人心地がつく。毎朝それの繰り返しだった。

「この家、広すぎると思いません?」

 ダイニングテーブルに着き、用意されたコーヒーを口に運ぶ。楓さんはテーブルにサラダやパンを並べながら小さく笑った。

「そうですね。掃除はなかなか大変です」

「じゃあやっぱり私、お手伝いを」

「いいえ。それには及びません」

 胸を張り、「私、プロですから」といたずらっぽく言う楓さんに「そうですよね」と返してからテーブルに目を戻した。私の正面の席にも朝食が準備されていて不思議に思う。

「あれ、今日はふたりぶん?」

「はい。雅臣様が今日は午後出社で。朝食はこちらで召し上がるそうです」

「そうですか」

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