一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る

 会社の役員としてどういう仕事をしているのか私にはさっぱりわからないけれど、二條雅臣はなかなか多忙だ。いつも私がダイニングテーブルでコーヒーを飲んでいるころにスーツ姿で下りてきて、そのまま出かけていく。朝食はいつも車内で取っているらしい。

「あの人、ずっとここに住んでるんですか?」

「なんだ。ようやく俺に興味が湧いたのか?」

 背後から低い声が聞こえて、咽そうになった。

 私が呼吸を整えている間に、シャツにジーンズというラフな格好をした二條雅臣が正面に座る。普段はかけていない黒縁のメガネが妙に似合っていて胸が鳴った。

 そっと目を逸らす。どうにかケチをつけたいけれど、端正な顔にはやっぱり隙がないのだ。

 なんとなく悔しい気持ちになりながらサラダにフォークを伸ばすと、彼がコーヒーを口に運びながら言った。

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