一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
オムレツとソーセージが載ったお皿を私たちの前に置きながら、楓さんが楽しそうに雇い主を見やる。あらゆるものが私の感覚と違っていたこの家でも、出てくる朝食だけは食べ慣れたものでほっとする。とはいえ、この卵やソーセージの価格が私が買っていたものとは天と地ほども違うだろうことは明白だけれど。
「じゃあ、働くようになってからここに戻ってきたってことですか? どうして」
この二條邸は敷地がリゾートホテルかと思うくらい広大だけれど、都心からは車で一時間くらいかかる場所にある。通勤のことを考えると都内でマンションに暮らしていた方が便利そうなのに。
口もとに手をあてて、楓さんは「うふふ」といじわるっぽく笑う。
「雅臣様は繊細でいらっしゃるから、癒しがないと生きていけないんですよね」
「楓。余計なことを言わなくていい」