一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
雅臣も同じことを考えたらしい。彼は床に落ちていたスケッチブックを拾い上げると、坂城さんに向かって広げてみせた。
「これを見ろ坂城。どっちが上手い」
私と雅臣の真剣な表情を見比べて、坂城さんは目をぱちくりさせる。メガネをかけ直すと、御曹司からスケッチブックを受け取った。
「お絵かきゲームでもしていたんですか」
感情の読み取れない口調で言って、優秀な執事は厚紙に目を落とす。
「これは……」
雅臣が描いた絵を眺め、ページを戻して私の絵も確認すると、坂城さんは私たちの顔を交互に見つめた。
「どちらがうまくアメーバを描けるか、の勝負ですか?」
ダイニングキッチンの方から、「ぶはっ」と吹き出す楓さんの声が、大きく響いた。