一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る



「本当に、ひどい目にあった」

 洗濯用のパジャマや靴下を袋にしまいながらため息をついていると、傍らからくすっと笑う声がした。

「どうしたの愛。今日はやけに楽しそうじゃない」

「楽しそう? 疲れてそうの間違いじゃなくて?」

 着替え用の服をしまう手を止めて、ベッドに横たわっている母を振り返った。

「楽しそうよ。顔が明るいもの」

 そう言う母自身は、ここのところ痩せたようだった。以前はもっとふっくらしていた頬が、目に見えてこけていて胸が痛む。

「ねえ、ちゃんとごはんは食べてる?」

「そうねえ。ちょっと最近食欲がないかもしれないわ」

「そうだ。私プリン持ってきたの。ものすごく美味しいって評判で、行列になっててなかなか買えないお店のなんだから」

「まあ、わざわざ並んだの?」

「う……うん」

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