一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
頬が引き攣らないように笑みを浮かべて箱からプリンを取り出しながら、『絶品スイーツ』と大きく書かれていた雑誌を思い出す。
お屋敷で暇を持て余していた私を見かねて楓さんが用意してくれたその雑誌には、都内で流行っているお菓子がたくさん載っていて、この絶品プリンの店は一時間以上は並ばないと手に入らないと書かれていた。
母は昔からプリンが好きだ。普段はあまり甘いものを口にしないけれど、プリンだけはときどき売店で買って食べている。
『この絶品プリン、お母さんに買っていこう』
出かけようとする私を押しとどめたのは雅臣だった。
私は普通にお店の行列に並ぶつもりだったのに、「妻にそんなことはさせられない」と言ってどこかに電話をかけた。すると私が病院に向けて出発するまでの間に、絶品プリンは雅臣邸に届けられたのだ。