一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
誰だろうと身を乗り出す。
となりと隔てるために引かれた淡い桃色のカーテン越しに、見覚えのある顔が目に入ってぎょっとした。
「はい。私です」
母が答えると、カーテンをわずかに揺らして二條雅臣が姿を現した。仕事帰りにそのまま来たようなスーツ姿で、だけど手には大きな花束を抱えている。
どうしてここに……⁉
声にならない声を上げている私を一瞥し、御曹司様は優しげに微笑んで母に目を戻した。
「はじめまして。二條雅臣と申します。突然押しかけてしまい、申し訳ありません」
きょとんとしている母に、彼は紳士然とした笑みを崩さず花束を差し出す。
「ご挨拶に伺おうと常々思っていたのですが、仕事がなかなか途切れず……」
「え、いえ。あの……?」