一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
にこにこと人が好さそうに微笑んでいる彼の本性を、母が知る由もない。彼女は目を輝かせて私を振り向いた。
「とっても素敵な方じゃない。こんな立派な花束まで用意してくださって」
「で、でしょう?」
もうヤケだった。すすっと彼の横に並び立ち、笑顔をつくる。無理やり持ち上げようとした頬が、ひくひくと痙攣してしまった。
「雅臣さんはものすごく傲……優しくて、バカみたいに大きな家……器をもってて、とってもお金持……頼りになるのよ!」
いろいろほつれそうになりながらなんとか言い切った途端、するりと伸びてきた手にお尻の肉をぎゅっと掴まれた。悲鳴を上げそうになって見上げると、雅臣が恐ろしいほど不自然に笑っている。
「愛さんは本当に面白くて、いつも刺激をもらっています」
「まあ、そうですかそうですか」