一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
少女のように顔をきらめかせて、母はうんうん頷いている。その顔が本当にうれしそうで、体からふっと力が抜けた。震えそうになる手を握り締めて、私はベッドの母をまっすぐ見つめる。
「お母さん。私、この人と……雅臣さんと、結婚したいと思っています」
母の目に光が揺れる。涙が溜まった目もとを隠すようにして、彼女はベッドの上で居住まいを正した。苦しいだろうにゆっくりと体勢を変えて、正座の姿勢で深々と頭を下げる。
「雅臣さん。不束な娘ですけれど、どうか愛のことを、よろしくお願いいたします」
胸が締めつけられる。涙が込み上げそうになって、唇を引き結んだ。
頭を垂れている母は、とても小さい。今にも消えてなくなってしまいそうなくらい。