負け犬の傷に、キス
おそるおそる顔だけうしろに向かせてみる。
案の定イカれた男2人目が、仁王立ちしていた。
「戦えヨ、なア?」
話し方……というか、音程がところどころ上ずってる。
なまり? これも“薬”の影響?
「えーっと……お、俺は、その……」
「さア! ほラ! 遊ぼウぜェ?」
悪魔みたいな高笑いをしながら迫ってくる。
ひいぃぃ! 超怖い!!
あなたとは遊べません!
部屋を飛び出してすぐ急ブレーキをかける。
男が扉にさしかかったタイミングで、
「ひゃッはー! てめェ逃げン、な……っ!?」
扉横に垂れ下がったロープを下に引っ張った。
――ザバアァッ……!!
扉の上に仕かけたバケツから水がこぼれ落ちる。
どんぴしゃり!
トラップその2成功!
「クソガキがァ……!」
全身ずぶ濡れになった男が怒り狂って走り出す。
が、水びたしの床に足を滑らせた。
すってんころりん。
背中と後頭部を強打した。
極めつけに落っこちてきたバケツが腹に直撃。
「こ、こういう遊びはやめような?」
……あ。聞こえてない、か。
ササッと縛り上げ、廊下の奥に放置した。
「総長! 全員終わりました」
「こっちも終わったっす」
奥の部屋とその隣の部屋から下っ端たちが続々と出てきた。
終わった!? 早くない!?
俺まだこっちに来て3人しか拘束してないよ!?