負け犬の傷に、キス
「これはボクのだよ」
ニット帽をくしゃりと握りしめて不気味に笑う。
柏の金髪がひどくまぶしかった。
「あちゃー……」
顔を引きつらせているのは、柏よりも俺や下っ端たちのほう。
あのニット帽は柏の大事なもの。
簡単に触れていいものじゃない。
あの赤髪の男……いくら幻覚にまどわされてるからって、やってはいけないことをやってしまったな。
かわいそうに。
ご愁傷さま。
「そうとう殺されてぇらしいな?」
「っ、」
「いいぜ? 俺が生き地獄ってやつを味わわせてやるよ」
柏のまがまがしい殺気に、赤髪の男は震えあがる。
今さら引こうたってムダ。
柏は完全にスイッチ入っちゃってる。
もう、遅いよ。
「さーてと、あっちは柏がなんとかしてくれるから、俺はこっち」
マゾな男をどうにかしよう。
苦痛を欲してるヤツに苦痛をあげたくない。
てか誰にでもあげたくない。
「ロープをこうして、こうやって……よしできた!」
ロープで輪っかを作った。
それをカウボーイみたく振り回して……飛ばす!
下っ端ふたりの間を通り抜け、マゾな男の体にすっぽりはまった。