負け犬の傷に、キス


どうするのが正しいのかわからなかった。


でも……。



カバンから栞を取り出す。

希勇くんからもらった赤いバラ。


栞を持つ指にぐっと力を入れる。



でも、でもね。

やっとわかったの。


正さは、探してばかりじゃ何も変えられない。


自分で作っていかなきゃ。




指の力をとき、栞の表面を撫でた。



ひとりじゃない。

大丈夫。


勇気はきみからもらった。




教科書も栞もカバンにしまいこみ、持ち手を肩にかける。


席から立ち上がり向かう先は、扉

……ではなく、陰口をたたくクラスメイトのほう。




「あ、あの!」




あっ。勢いあまって近づきすぎた。

クラスメイトがびっくりしてる。


半歩引いて、もう一度声を上げた。




「あの、えっと……み、みんなにとっては怖い存在かもしれないけど、わたしにとっては大切な存在なので悪く言わないでほしい……です」



「……え?」

「なに」

「悪く言ったつもりねぇけど」

「事実だしね~」




心外そうにクラスメイトが睨んでくる。



ここであきらめたらいつもと同じ。

希勇くんたちや両親が頑張っていたようにわたしも頑張りたい。



自分の殻を破りたい!


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