負け犬の傷に、キス
震える手を隠しながら真っ直ぐ見返した。
わたしだってかっこよくなりたいの。
「不良は怖いよね。わかるよ」
否定ばかりだったのにいきなり共感され、クラスメイトは少なからず動揺する。
「だけど不良がみんな怖いわけじゃない。悪い人だらけじゃない」
「そ、そんなの……」
「不良なんだから悪いヤツに決まってんじゃん」
「まず見た目が怖いよ」
「じゃあみんなは、不良と呼ばれる人全員と会ったことがあるの?」
クラスメイトは言葉に詰まった。
そうだよね。会ったことないよね。
わたしもないよ。
全員と会うなんて難しいよ。
「あ、会わなくてもわかるよ!」
「本当に?」
「そ、そう、だよ……!」
「決めつけてるんじゃないの?」
優しく問いかければ、ひるんで視線を逸らされた。
「相手はよくケンカする不良だから怖がっちゃうのはわかるよ。だけど、全員怖い人だって決めつけちゃだめだよ。不良にだって優しい人はいる」
目の前の彼らは、ちょっと前のわたし。
何も知らないくせに勝手に決めつけてた。
違うのにね。
わたしの出会った不良は
痛みも怖さも押し殺して守ろうとする
弱くて、強い、ヒーローだった。