ワケあり花屋(店長)とコミュ障女子の恋

破れていた服の代わりに病院にあった服を着ている椿。
それでも自分の両腕をだきしめるようにしていて寒そうだった。

椿は海からシャツを借りると素直にお礼を伝えた。

「・・ありがとうございます」
「それでいい」
海も、椿が今は素直にお甘えてくれるほうがいいと思っている。

凌駕と海に守られるようにして椿は病院から出ると、花屋の配達用の車に乗り込んだ。

あたりをきょろきょろとしながら、自分を襲った男がいないか見ている椿に、「大丈夫。俺と店長がいれば大丈夫だよ」と凌駕が微笑みかける。
「・・・はい」
「少し、目、閉じてろ。」
海は夕べからほとんど寝ていない椿にそう言って車の温度を少し上げた。

花屋の車の後ろからはパトカーで警察官がついてきている。
「店長。ここでスピード違反したらつかまるんですかね」