ワケあり花屋(店長)とコミュ障女子の恋
海は肩を震わせて涙する椿の体を思わず抱き寄せていた。

「ここがお前の居場所だ。変わらない。ずっと。」

海の低くて穏やかな声が椿の心に染み込む。

「ここにいる理由も、ここにいていい理由も、生きる目標も希望も、ここにある。」

椿は自分の考えていることが海にはわかっていると悟った。

涙で声にならない言葉の代わりに椿は何度も海の胸の中で頷く。





海は椿を抱きしめながら空を見上げた。
香菜。もしかしたら椿に出合ったのはお前からのメッセージなのか?
命を投げ出す覚悟もできずに。ただ宙ぶらりんに生きている俺に。
ちゃんと生きる意味を、お前が椿を通して俺に伝えようとしてるのか?
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