ワケあり花屋(店長)とコミュ障女子の恋
たくさん食べて、凌駕は膨らんだお腹をさすりながら帰宅した。

海は椿をタクシーに乗せるとさっと運転手にお金を渡す。
「いいです」
「いいの。これは俺からのお礼だから。悪いな。俺も酒飲んじゃったから送ってやれなくて。」
遠慮する椿の頭をくしゃくしゃに撫でながら、少し酔っている海が笑う。

「また、明日。」
「はい・・・ありがとうございます。ごちそうさまでした。」
椿が微笑む。


椿に出合った時。あまりに不器用に笑う椿を見て、椿という人はどんな人なのか、気になったことを海は思い出していた。

今は自然に笑えるようになった椿の微笑みを見るだけで、この存在に自分は救われていることを海は実感した。
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