ワケあり花屋(店長)とコミュ障女子の恋
「これ、ちゃんと医者に見せたのか?車いすから落ちたのか?ぶつけたのか?」
心配のあまり早口で攻め立てるように椿に言った海。
ふと椿の顔を見た時に後悔した。

椿は怖がり肩をぶるぶると震わせている。

こうして、たとえ海が相手でも、海の言動ひとつでぶるぶると震えたり、恐怖に情緒不安定になることも椿には多い。

「ごめん。心配なんだ。痛そうだから。」
海の言葉に椿の瞳から涙が伝う。
「感じない・・・」
「・・・」
海が再びはっとする。
「何も感じない!」
椿はそう言って自分の左手で右手をたたき始める。

すぐに椿の左手を抑える海。
あまりに悲痛な姿に海はありったけの力を込めて椿の体を抱き寄せた。
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