ワケあり花屋(店長)とコミュ障女子の恋
「兄貴が姉貴の幸せを願って守ろうとしたように、姉貴も同じですよ。兄貴の一番の幸せを願って祈って、守りたいと思ってるに決まってんじゃないですか。」
「・・・」
「いつまでも空見上げて、悲しんで、姉貴に謝ってばっかりで・・・。自分責めて、自分大切にしないで・・・。そんな兄貴を見たら、泣いてますよ。姉貴。今頃。だって姉貴は幸せだったんだから。兄貴と夢叶えて。」
海は目の奥に熱いものを感じながらも必死で我慢をしている。

「兄貴」
「ん?」
まっすぐに凌駕を見たらこらえているものが溢れそうで、ちらりとみて視線をそらす海。
「兄貴」
「なんだよ」
少しごまかそうと返しても、凌駕は真剣だった。
「しっかりしてくださいよ。」
「・・・」
「ちゃんと、前見て、ちゃんと進んでください。前にも言いましたよね。ちゃんと生きてほしいって。それは俺からじゃない。姉貴の願いだってわかってるでしょ」
「・・・あぁ」
「だから、兄貴」
凌駕がジョッキに残っていたビールをのみほす。
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