ワケあり花屋(店長)とコミュ障女子の恋
海が運転する車が目的の場所についた。
そこはいつの日か二人で来た大きな椿の木の場所。
近くに車を停めると海が運転席を降りた。

すでに起きている椿は左手でシートベルトを外す。
海は助手席のドアを開けると、椿に両手を伸ばした。

「ここは車いすは難しいから」
と海が椿を抱き上げようとする。
「大丈夫。歩くから・・・」
椿が遠慮がちに言うと海はぐいっと椿の体を抱き上げた。
椿の体を車から降ろすとすぐに海は自分の背中に椿をおんぶする。
「うわっ」
すべての動きが早くて椿は抵抗すらできなかった。
「ちゃんとつかまってろよ」
車のドアを閉めると海は椿の木に向かい歩き始めた。
思ったよりも体が左右に揺れた椿は思わず左手を海の首に回した。

背中に感じる椿の緊張に海は笑う。
「大丈夫。落とさないから」
そう言って笑いながら海はすたすたと椿の木のある場所へ歩いて行った。
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