ワケあり花屋(店長)とコミュ障女子の恋
「あー俺、こいつのことが好きなんだって。」
その言葉に椿の表情がゆがむ。
「香菜を想う気持ちは変わらない。でも、人って一人しか愛せない訳じゃないんだな。」
「・・・ふっ・・・・」
声を我慢して涙する椿を見て、海は愛おしさがこみ上げて微笑みかける。
「椿」
「・・・?」
海に呼ばれて椿が涙がたくさんたまっている瞳で海を見る。
「好きだよ。」
「・・・」
その言葉に見る見るうちに表情がゆがむ椿。
「だから、どこかに行こうなんて考えないでくれよ。」

海は椿の体にあざを見つけた日から、椿がどこかへ行こうとしていることに気が付いていた。
椿も、海に自分の考えが分かっていたことを知った。

「俺から、生きる理由を、生きる希望を奪わないでくれよ。」
「・・・」
「椿。お前は俺の生きる希望なんだ。そばにいてほしい」
「・・・」
涙が止まらない椿。
< 280 / 292 >

この作品をシェア

pagetop