ワケあり花屋(店長)とコミュ障女子の恋
「なにしてたんだ?」
作業台で何かに集中していた椿に、海が聞く。
椿は気まずそうに作業台に広げていたものに視線を移した。
海は作業台に近づいて椿の視線の先を見る。


そこには店内に置いてある花の名前が書かれたカードがたくさん並べられていた。
かわいらしい文字で書かれた花の名前の横には花ことばが書かれていて、カードの下には花の育て方が書かれている。カラーペンでデザインされたカードはかなり手が込んでいる。
「お前が作ったの?」
「・・・はい・・・。勝手なことしてすみません・・・」
椿は慌ててカードをかき集める。
「見せて」
海が大きな手を椿に出す。

「でも・・・下手で・・・」
「いいから」
有無を言わさない海に、椿は震える手でカードを渡した。
< 31 / 292 >

この作品をシェア

pagetop