ワケあり花屋(店長)とコミュ障女子の恋
「なにぼーっとしてんだ。これ、飾るぞ」
海はカードを一通り見終えると、椿の方を見ず花を陳列している場所へ向かい、カードを花の前に飾っていく。
「え?いいんですか?」
椿がおどおどしながら海の方へ近付くと海が椿を見た。
「当たり前だろ。こんな心のこもったカード。飾るに決まってんだろ」
意外な言葉と反応に椿は海から目をそらすことも忘れて、海の目を見た。

「早くしろ。日付変わっちゃうだろ」
海はぶっきらぼうに告げると半分カードを椿の手に渡す。

椿は渡されたカードをじっと見つめてから「ありがとうございます!」と海を見て言った。

その顔は満面の笑みで、あまりにまぶしくて思わず海は手を止める。

「急ぎますね」
椿が動き出して、海ははっとした。

自分の反応が自分でも理解できない。
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