ワケあり花屋(店長)とコミュ障女子の恋
「私の母は・・・恋をしていないと生きていけない人なんです・・・」
椿は作業台の奥に海が用意した椅子に座っていた。
その向かい側に海が座っている。
「私の本当の父は・・・わかりません・・・」
椿は海の方を見ないまま、話し続ける。

海は黙って話を聞いている。
「何度も男のひとが変わって、そのたびに生活に入ってきて・・・」
自分の口元を隠すようにして話をする椿に、言いにくい内容だと悟った海。
「言いたくなければ言わなくていい」
ぶっきらぼうな言葉。それでも、海なりの心配が込められている。

「いろいろ・・・つらいこともありました・・・。いいひとばかりじゃなくて・・・」
「そっか」
椿はそれでも話を続ける。

「気に入られようと頑張ったこともありました・・・」
「・・・」
「そしたら・・・私・・・失敗しちゃって・・・」
急に椿の体ががたがたと震えだす。
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