ワケあり花屋(店長)とコミュ障女子の恋
海が目を覚ますと目の前で椿が一生懸命、夢中で花飾りを作っていた。
いつもは黒髪をおろしている椿。

でも、いつの間にか長い髪を束ねている。
夢中な顔で花に触れる椿に、海はもう一度目を閉じて寝てしまいたくなる。
こんなにも眠気を感じたのはいつ以来だろうか・・・

その時、椿が気配を感じて海の方を見た。
「悪い。寝てた。」
海がそう言って立ち上がる。
自分にかけられていた椿の上着を持ち
「これ。サンキュ」と椅子に丁寧にかけて置いた。
「こんなに熟睡したの久しぶりだわ」
海が椿の方へ近付き作業を再び始めようとしたとき、椿が海の顔を覗き込んだ。

椿が誰かの顔を自分から覗き込むのははじめてだ。
「どうした?」
何か言いたそうな椿に海が聞く。
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