愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜
「嫌じゃない。瀬野の服とかどうするの」
「……買う」
「本当にバカ。
ダメ、私がついていってあげるから」
「……わかった、川上さんがきてくれるなら」
ここまで言ってようやく了承してくれる。
どうして家に帰るだけでこんなにも子供っぽくなるのだ。
「じゃあそのついでにさ、俺たちの溜まり場にも来てよ」
「は?溜まり場?」
「まあアジトみたいな感じの」
「嫌に決まってるでしょ」
そんな不良の集まりみたいな場所に行けば、何されるかわからない。
「川上さんを守るためだよ」
「……え?」
「仲間に川上さんの顔を覚えさせるんだ。
何かあったら最優先で守るようにって」
良いように聞こえるけれど、巻き込んだのは瀬野自身だ。
それも“わざと”である。
「へぇ、瀬野ひとりじゃ私を守れないんだ?」
「川上さんが四六時中俺のそばにいてくれるなら可能だよ」
「絶対に嫌、ふざけないで」
誰が常に瀬野と一緒にいるものか。
冗談もほどほどにしてほしい。
「本当だよ、俺のそばから離れない限り川上さんを守れる。あっ、じゃあお風呂も一緒に入らないと…」
「消えて」
「……前見えないよ川上さん、枕を押し付けないで」
冗談が過ぎる瀬野に枕を押し付けようとするけれど。
彼の阻止する力の方が強い。
とはいえ彼は手加減しているのだが。
私は全力であるため、むしろ悔しい。