忍君のセカンドラブ~歳の差30歳以上~
夜、幸喜が寝た後に夏樹は空に話した。
「暫く、父さんと一緒に暮らそうと思うんだけど。だめかな? 」
うーん…
夏樹はしばらく考え込んだ。
「お父さん」
寝ていた幸喜が起きてきた。
「幸喜、どうした? 」
ちょっと眠そうな目をこすりながら、幸喜は夏樹をじっと見つめた。
「お父さん。僕、お爺ちゃんの家に行きたい」
「え? どうして? 」
「前から思っていたんだけど。お爺ちゃん、本当は1人で寂しいんだよ。今までね、お婆ちゃんと話ができていたけど。もう今はできなくなっているんだよ」
「そうなのか? 」
「うん。でも、お爺ちゃん。きっと、僕達が一緒に住むと窮屈になるって思っているって思い込んでいるようなんだ。だから、お爺ちゃんと一緒に住みたいって僕は思っていたよ」
空はやれやれとため息をついた。
「幸喜はすごくお爺ちゃんの事、見ているのね」
「うん。僕、お爺ちゃん大好きだもん」
「そうね、お爺ちゃん。赤ちゃんの時から、幸喜の事すごくかわいがっていたからね」
「うん。だから、お爺ちゃんと一緒に住みたい。僕、赤ちゃんとも仲良くなるから」
幸喜は決して無理を言っているようではない。
心から忍と一緒に住みたいと思っているようだ。
「判った、一度、お爺ちゃんに聞いてみるよ。お爺ちゃんが、ちゃんと分かってくれたら。一緒に住むよにしよう」
「うん。楽しみにしているね」
満面の笑みで幸喜は喜んでいる。
このように、幸喜はちょっと変わった子である。
見えないものが見えている。
素直で優しい子である。