忍君のセカンドラブ~歳の差30歳以上~

 翌日。

 夏樹はさっそく忍に一緒に住む話をした。


 忍は今はいいと言って断ってきた。

 だが、幸喜が一緒に住みたいと言っていると話すと


「じゃあ幸喜だけ来たらどうだ? 試しに一緒に暮らせば、きっと嫌になると思うぞ」

 と言い出した。



 困った夏樹だが。


 とりあえず幸喜だけ、忍と一緒に暮らさせてみることにした。




 幸喜はとりあえず忍と一緒に暮らせると話すと、大喜びしていた。


 今度の休みに荷物を持って、忍の元へ行くとはりきっている。



「幸喜ったら、あんなに喜んでいるのね」

 喜ぶ幸喜の姿を見て、空も喜んでいる。

「よっぽど父さんの事が、好きなんだね。これもいい経験だろうね」

「そうね」






 それから学校が休みになった土曜日。

 幸喜は夏樹に送ってもらい、忍の元へ向かった。


 学校の用具と着替えをもって、結構な荷物だった。



 忍は昔、夏樹が使っていた部屋を子供部屋にして机も綺麗に整え、子供用のベッドを用意した。

 
「すごーい…、こんなに広い部屋に、お父さん住んでいたんだ」

「気にいってくれたか? 」

「うん」



 忍が抱いている赤ちゃんを、幸喜はじっと見つめた。


 今日は可愛いピンクのベビー服を着ていて、とても可愛い赤ちゃん。



「お爺ちゃん。赤ちゃんの名前、当ててみようか? 」

「え? 」

「お爺ちゃん、赤ちゃんの名前決めたよね? 」

「ああ、一応だが決めたよ。名前呼ばないと、呼びずらからなら」

「うん、そうだよね。で、赤ちゃんの名前って…愛にしたんでしょう? 」


 お? 何で分かったんだ?


 忍はちょと驚いた目をした。


「当たりだね。とってもお似合いの名前だね」


 赤ちゃんこと愛に歩み寄って、幸喜はよしよしと頭を撫でた。


「お爺ちゃん。この赤ちゃん、妖精さんの子供だね」

「妖精さん? 」

「うん。だって、お爺ちゃんが好きになった人でしょう? 妖精さん」


 はぁ? 

 きょんとしている忍を見て、幸喜はちょっと悪戯っぽく笑った。


「ちょっと、待ってね」


 幸喜はランドセルから自由帳を取り出した。
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