忍君のセカンドラブ~歳の差30歳以上~
鉛筆を取り出して、幸喜はスラスラと何かを描き始めた。
「はい、この人。お爺ちゃんが好きになった人でしょう? 」
自由帳に描かれた絵を見て、忍はビックリした。
その絵は、フェアディーの似顔絵だった。
1年以上前のあの夜の後、突然いなくなったフェアディー…。
その時のフェアディーは髪が腰まで届く長さだったが、幸喜が描いているフェアディーは、」髪が短くショートボブで、ほっそりしている。
「お爺ちゃん、当たっていた? 」
「あ、ああ…。なんでわかったんだ? 」
「だって、お爺ちゃんの後ろにずっとこの人見えていたよ。すごい笑顔で、ずっとお爺ちゃんの後ろにいたよ。しばらく見えなかったけど。赤ちゃんと一緒に、今日は見えたからね」
「この子と一緒に? 」
「うん。愛ちゃんのお母さんだと思うよ」
愛のお母さん…。
そう言われると、忍も感じる事があった。
愛を初めて見た時、とても愛しかった事。
最近では顔立ちがはっきりしてきたのもあり、愛の顔がなんとなくフェアディーに似ているような気がしていた。
「そっか…愛の母さんか…」
改めで愛を見ると、とても暖かいエネルギーが伝わってきた。
そのエネルギーは、フェアディーから感じていたエネルギーと同じだ。
でも妖精って…。
「お爺ちゃん、お庭のお花がとっても綺麗だね。
窓から庭を見て、幸喜が言った。
忍も歩み寄り、窓から庭を見た。
ずっと放置していた庭の花壇。
だがそこに、綺麗なコスモスの花が咲いていた。
「あの花…誰が植えたんだ? 」
驚いている忍を見て、幸喜はクスッと笑った。
「お爺ちゃん。あのお花は、妖精さんからのプレゼントだよ」
「妖精から? 」
「うん。お爺ちゃんが、寂しくないようにってね」
コスモスの花をじーっと見る忍。
確かに見ていると、花から「頑張って」と励ませれているような気持ちになる。