忍君のセカンドラブ~歳の差30歳以上~
それから忍と幸喜は、食材を買うためにスーパーに行く事にした。
歩いて10分もかからない場所にある、食品スーパー。
ベビーカーを押して、幸喜の買い物に来た忍。
「幸喜、好きなものを買っていいぞ」
「わーい」
カートを押して歩き出す幸喜。
その後ろをベビーカーを押して歩いて行く忍。
好きなものをどんどんかごに入れてゆく幸喜。
忍はそんな幸喜を見ていると、なんとなく嬉しくなった。
よく、夏樹が小さい頃は一緒に買い物に来て、樹利亜と一緒に好きなものを選んでいた。
兄の一樹は小さな頃から、ちょっとクールで一緒に買い物に行くのは嫌だと言って家で留守番していたが、一緒に買い物に来ると夏樹と真逆で買う事を遠慮していた。
素直な夏樹と、ちょっとクールで無口な一樹。
忍は素直な夏樹より、クールで無口な一樹の気持ちの方が良く分かった。
「あなたはお兄さんだから」
と、樹利亜によく言われていた。
そんな事から、一樹は兄であるという事をいつも頭に置いていたのだろう。
その為、弟の夏樹の事を護っていたようだ。
忍は愛をそっと見た。
眠っている愛はとても可愛い。
女の子を育てたことはないが、なんとなく見ていると一樹とも重なって見える。
もしかして女の子でも、ちょっとクールなタイプなのかもしれない。
そんな事を思いながら買い物を済ませて、会計を済ませた忍と幸喜。
買ったものをエコバッグにしまって、幸喜がかごを返しに行った。
幸喜がかごを返しに行くと。
従業員がかごを取りに来た。
「はい、これもお願いします」
帽子を深くかぶってマスクをつけている、ちょっと背を丸くした従業員はそっと頭を下げた。
そんな従業員を幸喜がじっと見つめていた。
従業員はかごをまとめて持って、そのまま行ってしまった。