忍君のセカンドラブ~歳の差30歳以上~
「どうした? 幸喜。帰るぞ」
忍が声をかけると、幸喜はじーっと忍を見つめた。
「お爺ちゃん。今の人、妖精さんだよ」
「え? 」
遠ざかった従業員に目をやった忍。
従業員はすぐにいなくなってしまった。
とりあえず店の外に出て、歩き出した忍と幸喜。
「お爺ちゃんって。妖精さんと恋していたの? 」
「え? 何を言い出すんだ? 」
「だって、愛ちゃんは妖精さんの子供だから。それに、お爺ちゃんとは本当の親子だよ」
はぁ?
驚いた忍は何も言葉が出なかった。
「僕には判るよ。だって、愛ちゃんがお爺ちゃんを選んで産まれてきたって言っているもん」
選んで産まれてきた…
そう言われて忍はハッとなった。
フェアディーと会えなくなり1年以上が過ぎた。
いくら探しても見つからない。
でもフェアディーと会えたのは月に1回か2回だった。
初めて会ったフェアディーは靴を履いていなかった。
そして、どこか不思議な感じがしていた…。
よく考えると、外国人だと言っていたフェアディーだが、日本語はとても上手だった。
日本に長くいるとは言っていたが、そのわりには緑茶の事を知らないようだった…。
もしかしてファディーは妖精だったのだろうか?
だとすれば、幸喜が言っている事は納得できる。
そして…愛は、あの夜の子供の可能性もある。
そんな事を考えながら、忍は幸喜と一緒に家に戻ってきた。