忍君のセカンドラブ~歳の差30歳以上~
2ヶ月前。
冬季は結婚を約束した女性・上野雪と同棲していた。
お互い同じ苗字で、結婚しても変わらないねと話して、1ヶ月後の結婚式を楽しみに、冬季の両親への挨拶も行く予定をしていた。
しかしある日。
雪は仕事の帰りに事故に遭い、意識不明の状態が2週間続き亡くなってしまった。
悲しみに押しつぶされそうになるくらい、冬季は立ち直れないままだった。
雪の死から1ヶ月経過する頃。
身内がいない雪を納骨堂に納骨して帰り道。
車を運転していた冬季は、曲がり角をまがったところで歩行者を引いてしまい急ブレーキをかけた。
驚いた冬季が車から降りてゆくと、そこに倒れていたのは、とても綺麗な金色の髪の女性だった。
赤ちゃんを抱いていたが、赤ちゃんは無傷だった。
「大丈夫ですか? 」
冬季が声をかけると、女性は目を開けて周を見渡した。
「あの…大丈夫ですか? 」
「ここは…どこですか? 」
「え? 」
「私…私は…」
頭を押さえる女性を見て、冬季はもしかして記憶喪失なのかもしれないと思った。
「お名前教えて下さい」
「名前? …え? 判らない…」
やっぱりそうか…
冬季は女性が記憶を失っている事を確信した。
他の様子を見ると、特にどこも大怪我をしている様子もなく、ただ頭を押さえているだけだった。