忍君のセカンドラブ~歳の差30歳以上~

「…フェアディー? …」


 フェアディーと言われると、雪の胸が大きく高鳴った。


「あの…。マスクを外してくれませんか? 」


 雪はちょっと困った目をした。


 
 少し震える手で、雪はマスクを外そうと手をかけた。

 が…

 その手をそっと、忍が止めた。

 重ねられた手のぬくもりを感じると、雪の胸に何かスーッと降りて来るものを感じた。


「いいよ外さなくて」


 優しい目で見つめられ。

 雪は胸に込みあがるものを感じた。


「その目を見れば分かるから。…ずっと…探していたよ…フェアディー…」


 潤んでくる忍の目を見ると。

 
 思い出されるあの夜の事。


 
 数回会った人だけど…心から愛してしまった人…

 親子以上に年の離れた人なのに。

 とっても優しく愛してくれた人。


 でも…

 住む世界が違うから…あきらめなくてはならないと、姿を消してしまった。



 ずっと探してくれていたなんて…


「…ごめんなさい。…もう二度と、お会いすることは許されないと思っていました。…」


 そっと、忍を見つめて。

 雪はマスクを外した。


 
 マスクを外した雪は。

 とても美しく、あの夜よりもずっと綺麗になった…フェアディーだった。


 ほっそりとした顔は、とても清楚で、目は母親のように優しい目になっているフェアディー。


 
 素顔のフェアディーを見ると、愛は声を出して笑い始めた。


「愛、お母さんの事が分かるんだね? 」

 忍が話しかけると、愛はまた喜びだした。


「愛…。私も、愛って名前を付けたのです。…ずっと愛してゆきたいから…。でも私、住む世界が違うので。姿を消したのです…」


 忍はそっと、愛を雪に渡した。


「初めて見た時から、胸がキュンと鳴っていたんだ。愛が、こんなに喜ぶから。もしかして、フェアディーだったらと思っていたよ」

 
 愛を抱っこすると、雪の目が潤んできた。


「愛…ごめんね。…忘れてしまってて…」

 愛を抱きながら雪は泣き出してしまった。

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