お嬢様と呼ばないで


「こっちはね。SLだし、これはコスプレ列車」

「きれい。あ。どうしたんですか」

「美友ちゃん……あのね。ちょっとこっちにきて」


海棠はひっそりとこの部の話をした。



「いいかい?格安切符でひたすら電車に乗っているだけだよ?部員は電車の車両に興味があって旅は二の次だよ」



「ええ?それはちょっと。私は駅弁とかご当地グルメとかそっちがメインだもん」

「それは俺が連れてってやるから!なあ、ここは断りなさい」

「はい!あの……やっぱりよします」


こうして二人は色々な部を見学したが、美友にはこれ!というものがなかった。




「ふう。やっぱり温室に行ってみたいです」

「あれは生物部だよ。一緒に行こうか」

「はいあの……海堂先輩?」

美友はなぜ自分の案内をしてくれるのか、ようやくここで彼に尋ねた。



「やっと聞いてくれたね?実はね、疾風は俺の後輩でね」
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