お嬢様と呼ばないで
「でも、どうしても、こうなっちゃうよ?」
「うわああ!やめろぉ美友!」
そんなクラス全員を狂わしてしまった美友の細い手首を、日永は背後からすっと握った。
「いけない子ですね、美友さんは」
「ごめんなさい?でも、先生どうしたらいいんですか」
耳元で囁く日永に美友は涙目でうるうるしながら上目遣いで見ていたが、彼はフッと微笑んだ。
「いいかい……力を抜いて?」
日永は彼女の手を握ったまま一緒にチョークで書き出した。
「こう書くんだよ」
「はい……どうですか」
「いいね」
「日永先生!ちょっとくっつきすぎですけど!」
「おやおや?それはすみません。では、続けましょう」
つづく