お嬢様と呼ばないで
希望者がいないのでここは決定になった。
「すみれちゃんは花雲君と一緒か」
「……うん」
すみれの態度は少し微妙であったが、日永は強い口調で話し始めた。
「三役を決めないと今日は帰れませんよ?クラスの代表がしっかりいないと1年間楽しくないのは君達だぞ」
そんな?―と生徒が叫ぶ中、疾風だけは美友が黒板に何かを描き始めたので頬杖をつきながらじっとみていた。
「そもそもだね!そんな事でどうしますか」
お説教の間、生徒たちは黒板に描かれた美友の作品に目を奪われていた。
「だからですね、え?後ろ?」
日永が黒板を見ると、そこには美友が描いた美しい線があった。
「ふう!どうですか?先生」
「『あみだくじ』……」
「はい!これで決めるんですよね?」
ニコニコ顔の美友は、当たり!のところにピンクの花を描き、嬉しそうに話し出した。