……秘密があります
 


 みんな酔っているので、なにをやっても拍手喝采なのだろうに、芳賀は意外に難しいマジックをやってみせた。

「さ、お次は催眠術。

 本日、僕の実験台になってくれる美女は、みんなお馴染み、笑顔と配達物をいつも運んでくれる総務の綾城羽未(あやき うみ)ちゃんです~」

 酔った面々から拍手が起こる中、なにやってんだ、という顔で帯刀がこちらを見ていた。

 ……よかった。
 野郎どもに囲まれてますね、と羽未もちょっと酔った頭で思う。

 帯刀は木の下に男連中と共に居た。

「はい、そこ座って、羽未ちゃん」
と芳賀が小さなレジャーチェアを持ってくる。

 座りながら、羽未は今、芳賀が言った言葉を頭の中でリピートしてみた。

 ……催眠術っ!?



< 102 / 256 >

この作品をシェア

pagetop