……秘密があります
 


 少し酔いが覚めたり、覚めなかったりするみんなが川の側でくつろいでいた。

 士郎はみんなに釣られて川の水に足をつけ、
「しびれるっ。
 凍傷になるっ」
と騒いでいた。

 だったら足出せばいいのに、と思いながら、羽未は木陰でビールを手にしゃがんでいた。

 二本目のビールを飲み切らず、すっかりぬるくなったそれを手につかんでいたら、背後に誰かが立つ気配がした。

 振り返ると、
「語るに落ちたな、羽未」
と顎に手をやり、帯刀が言う。
 
 は? なにがですか?
と思っていたが、口に出すのもめんどくさかった。

 酔っていたからだ。

 呑んでいない帯刀とでは、なにごとにも温度差がある。
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