……秘密があります
「あら、羽未。
 ちょうどいいところにいい人が。

 課長についててもらいなさいよ」

 最悪、
「退治してもらいなさいよ」
と言うことになるのでは……。

 羽未。
 お前のためなら、ムカデでもゴキブリでも、マンドラゴラでも、パンダでも倒してやるが、あの蜘蛛だけは駄目だ。

 あの蜘蛛だけはっ。

 と、
「いや、パンダは倒さないでください」
と羽未に思われそうなことを考えていた。

 すると、ガチャリとドアが開き、あら、という顔をした阿佐子が後ろを振り返る。

「あら、羽未。
 ちょうどいいところにいい人が。

 蜘蛛、退治してもらいなさいよ」

 ……俺は預言者になれそうだ、と帯刀は思った。




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