……秘密があります
 


 
「す、すみませんっ。
 すぐに終わりますから。

 お忙しいのに申し訳ありませんっ」

 ほんとにいいんですよっ、と言いながら、羽未は急いで湯飲みを棚にしまっていた。

 会議の後らしい。

 今はペットボトルで出すことも多いが、年配の人が多いときはやはり、淹れたての温かいお茶が好まれるようだった。

「手伝おう」
と帯刀は言った。

 親切心で言ったのもあったが、早く此処を出たい気持ちもあったからだ。

 蜘蛛は死ぬほど苦手だが、羽未を此処に置いていくわけにはいかない。
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