……秘密があります
 



「はい、珈琲とこれ持って上がって」

 部屋に入ったと思ったら、すぐに羽未は母親から呼ばれた。

 キッチンで珈琲と焼き菓子ののったトレーを渡される。

「士郎ちゃんもいいなと思ってたんだけどねー。
 あんたの旦那になるの。

 近所だし、気心知れてるし。
 でも、近すぎて、話が進みそうにないからねー」

 はい、さっさと行って、と呼んでおいて、すぐに母親は娘を追い払う。

 いやいや。
 そもそもシロさんは私とは別に結婚したくはないらしいですよ、と思いながら二階に上がった。

 すると、何故か帯刀と士郎が向かい合ってラグの上に正座していたので、なんだかわからないが、羽未もちょっと離れて正座してみる。
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